子供たちの夏休みもそろそろ終盤。
地域によっては、すでに2学期が始まっているところもあるようです。
あなたの今年の夏の思い出といえば、何を思い浮かべるでしょうか。
前月の「感性を磨く気配りのすすめ」に続いて、今月もあなたの優しい思い
をうまく患者様に伝える「気配り・心配りの実際」として続編をお送りします。
まず、はじめに以下の応対例を読んで、あなたがお客様ならどのように"感じるか"を
お昼すぎから熱っぽくて、時間が経つにつれて熱が
上がってきました。週末なので受診も難しく、
念の為、風邪クスリを買っておこうと思いました。
そして、夕方5時過ぎに市販薬を取り扱うドラッグストアーチェーンに行きました。
そのお店のスタッフAさんが以下のようにあなたに応対してくれました。
シーン 1 あなた:「あの...すみませんけど、風邪薬が欲しいんですけど...」
シーン 2 Aさん:「いらっしゃいませ。風邪薬ですね」
シーン 3 あなた:「ええ。」
シーン 4 「初期の風邪なら、こちらがよく売れてますよ。お値段は1000円です。」
シーン 5 「はい、1000円ね。」
シーン 6 「ありがとうございました。」
結果、欲しかったお薬を手に入れたので問題はないんじゃない?と
感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
では、Aさんに対して(ひいてはお店全体に対して)、
「好感や信頼を感じることができたでしょうか?」と質問すると、
なにか物足りなさを感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この"なにか物足りなさ"を感じられた方は感性の豊かな方だと思います。
そして、「なにが足りないのだろう?」と上質な質問を自分に投げかけることで
さらに感性は磨かれます。
答えはすぐに出てこないかもしれませんが、どうしたら"満たすことが出来るのだろう"と
自然と考え続けることにもなるでしょう。
お客様の欲求や期待としては、大きく分けると「実質的ニーズ(欲求)」と
「心理的ウォンツ(期待)」に分けられます。それぞれのニーズとウォンツについてお話しましょう。
実質的ニーズ とは、欲しいモノを買いたい」、とか「情報が欲しい」という、
手にとって確認したり、情報を知る事によって成果を得たいという
基本的な欲求です。医療機関においての第1のお客様といえば
「患者様」ですが、当然、治療によって痛みがあれば、
「実質的ニーズ」です。
それに加えて「治療に対する不安や疑問点」を解消できるような
情報が欲しいというものも実質的ニーズと呼ばれるものとなります。
心理的ウォンツ とは、「素早く自分の存在に気づいて欲しい」
「気持ちよく出迎えて欲しい」、そして「丁寧に応対してもらいたい」
「大切なお客様だと感じられるように応対してほしい」という
期待のことです。
こちらは患者様の感情を先読みし、それに対して言葉がけや行動を
起こすことによって満たしていくものとなります。
気配り・心配りとはこの心理的ウォンツを察知する感性にあると言えるでしょう。
この2つの欲求と期待をいかに迅速に、そして正確に把握し対応していくかで、
患者様の総合的な満足度が変わるのです。
高度な医療技術を有している私たちの病院のドクターによる治療で
実質的ニーズを満たしていても、看護師、コメディカル、事務受付の
スタッフによって患者様の心理的ウォンツが満たされていなくては、
患者様は「なにか物足りないな」と感じ始められます。
他の病院で満たしてくれるところがあれば、
その「心理的期待を満たしてくれる」病院の方を選ぶ可能性が高くなります。
現在の「病院選択の時代」では、他の医療機関ががしているから、
仕方ないから私たちも「○○やろうか」「△△しよう」...では遅れをとってしまうことになりかねません。
私たちの患者様の期待はなにかを先読みして、それを表現していく必要性はここにあります。
気配り・こころ配りを、相手(お客様・患者様)にわかっていただく
表現方法の第1のポイントは言葉を添えること、つまり"有言実行"が効果的です。
お客様(患者様)の心理的ウォンツを満たしていけるかを見ていきましょう。
シーン 1 あなた:「あの...すみませんけど、風邪薬が欲しいんですけど...」
↓
気配りの言葉のポイント①
存在を認めて欲しい、大切にされたい期待に応えるために、先にお客様の存在に気づき
挨拶しましょう。
Aさん:「いらっしゃいませ。まだまだ暑いですね。」
「お探しのものがあれば承りますが...」または「今日はどうなさいましたか」
シーン 2 Aさん:「いらっしゃいませ。風邪薬ですね」
↓
気配りの言葉のポイント②
お客様の状況を知ってほしいという期待に応える「顧客情報の収集」
(優しく、詰問調子にならにように相手のテンポに合わせて質問していく)
(お客様の表情や仕草から、ご本人が風邪だと推測できたら)
Aさん:「お風邪でしょうか。」
「それはご心配ですね」(心配しているお客様の心情に共感的言葉をかける)
「熱は...、咳、鼻水などはどのような症状でいらっしゃいますか...」
「アレルギーなどありますか」(詳しく知りたいと思う気持ちを伝える)
シーン 3 あなた:「ええ。」
↓
気配り言葉のポイント③
お客様の知りたいという欲求に応える「わかりやすい説明」をする
Aさん:「これから夜半にかけてお熱が高くなった時がご心配なのですね。
解熱でしたら、こちらの薬は刺激も少なく、食後に1錠ずつ、
1日に3回飲んでいただくものです。
気配り言葉のポイント④
お客様の「こんな時は...」という心配に応える
Aさん:「お熱が高いと、食欲がないかもしれなせんね。ゼリーやアイスでも
お好きなものを少しおなかになにか入れてから飲まれると胃にやさしいですよ。」
シーン 4 「初期の風邪なら、こちらがよく売れてますよ。お値段は1000円です。」
シーン 5 「はい、1000円ね。」
↓
気配り言葉のポイント⑤
お客様も気づかない「こんな時は...」への情報提供と疑問が
でてきたら質問したいという期待に応える
Aさん:「熱が高くなると汗をかかれますから、水分を多くとって、すぐ着替え
になるといいですよ。」
「なにか他にご不明な点はありませんか。本日は20時まで営業していますので。
ご質問などあればご遠慮なくこちらの電話番号にお掛けください」
「どうぞお大事に。お帰りもお気をつけくださいね」
シーン 6 「ありがとうございました。」
それぞれのシーンに、相手の「○○してほしい」という心理的ウォンツを先読みし、
それを満たすための言葉がけと行動が伴われると、どのような印象を持たれたでしょうか?
日々の何気ない患者様のやり取りの中で、「どうしたら安心されるかな?」と
自分自身に質問を投げかけ、その時に最善と思われる言葉がけを
明日からでもしていただけることを期待しています。
次回は、この『言葉』に関しての情報をさらに詳しく
お送りしたいと思っています。暦の上では「秋」ですが
まだまだ暑い日が続くと思います。
皆様ご自愛下さいませ。
気配り言葉のポイント①:存在を認めて欲しい、大切にされたい期待に応える
「先にお客様の存在に気づき挨拶をする」
Aさん:「いらっしゃいませ。まだまだ暑いですね。」
「お探しのものがあれば承りますが...」または「今日はどうなさいましたか」
16.09.01(木)村田 小百合 カテゴリ:スタッフブログ