お父さんの名前をいれたビールジョッキやペンなども
人気があるそうです。
5月にあった母の同様、日頃の感謝を『ありがとう』の言葉に
込めて伝えるだけでも素敵なプレゼントですね。
今月は、先月(5月)からの「サピエンス全史(上)」の続編です。
「認知革命」の次に起こった「農業革命」から始めます。
今から約1万2000年前のことです。
これまで狩猟採集生活から、
進化によりより知能の高い人々が生み出され、
小麦を栽培し始めることにより「定住生活」が
可能となりました。
私個人もこれまで、狩猟生活というのは、獲物がいないと
飢えてしまうのでとても不安定な生活を強いられ、
農耕生活だと季節ごとの穀物の収穫によって、
安定した暮らしになるのだろうな~というイメージを
持っていましたが、このような物語は夢想にすぎなかったようです。
農業革命は、安楽に暮らせる新しい時代の到来を告げるにはほど遠く、
農耕民は狩猟採集民よりも一般的に困難で、
満足度の低い生活を余儀なくさせられることになっていました。
「そんなの詐欺やん!」と言いたくなりますが、
著者も「農業革命は、史上最大の詐欺だった」と言っています(笑)。
植物種だったのです。
ホモ・サピエンスが栽培化したのではなく、
逆にホモ・サピエンスがそれらを育てなくてはならないために
家畜化にされたことにあったのです。
植物を育てるために水を汲んだり、多々の重労働で、
椎間板ヘルニアや関節炎など多くの疾患にも見舞われていたそうです。
では、なぜ、知恵がついたホモ・サピエンスたちは
そんな大変な重労働の農耕から手を引かなかったのでしょうか?
それは、安住したことで子どもがたくさん生まれ、
人口が増加したため引き返えせず、後戻りが不可能だったのです。
安定した楽しいはずの農耕生活という罠の入り口は、
パタンと閉じてしまっていたのです。
あげられませんか?
とても便利であり、即座に情報のやり取りができるので、
時間を節約して生活にゆとりをもたらしてくれるはずだと
私たちは思っていました。
しかし、1日に何通もの電子メールを受け取り、相手からは迅速な返答を迫られ、
よく考えると速さも量も何倍も処理をしなくてはならない羽目に陥りながら、
「もうスマホなしでは生活できない!」と思ってしまう。
このDNAは農耕民族の時に根付いたものかもしれませんね。
農業革命によって、それぞれがバラバラだった集団が徐々にまとまってきます。
その過程で発展してきたのが、
政治面では「帝国」、
そして各派ある「宗教」でした。
特に「貨幣」は本当にすごい発明だな!と思います。
皆様もご存じのとおり、狩猟採集民には貨幣がなく
物々交換だけでした。
靴とりんごを交換するには、りんごを何個わたす?
腐ってしまうこともあり、持ち運びも大変ですが、
「貨幣」という仲介があるとするっと解決出来てしまいます。
この貨幣には誰もが信じて疑わないものの上に
それは普遍的転換性と普遍的信頼性。
貨幣自体は銅や、アルミ、紙でできており、
それ自体の原価は実際に購入したものの対価に値するものではないのです。
お金自体に実態は無いのです。
この貨幣もまた虚構のなせる業でしょう。
著者はこの貨幣の価値はますます強くなって行くと警戒を促しています。
現代でも、仮想通貨やそれを応用したサービスも
どんどん普及してきているので、
「お金とはなにか」という概念もまた変わっていきそうですね。
それは500年前に始まりました。
地球ができたのが45億年前とか、
認知革命が7万年前と語られてきたので、
なにか急に「最近のできこと」みたいに感じてしまいます。
現在2018年ですから500年を差し引くと
西暦1518年くらいになりますね。
そこから空前の能力を獲得し始めるホモ・サピエンスの
原動力になったのは「自らの無知を認めること」でした。
無知を認めることにより、それ以降、貪欲なまでに知識を求めてきたのです。
知識を求めれば求めるほどお金が必要となり、
科学と帝国主義と資本主義の発展を引き起こしたと言えます。
長い年月をかけて進化してきたホモ・サピエンスですが、
月(1969年アポロ11号が月面着陸)にまで
行くことができました。
医療プロフェッショナルとして役立ててもらいたいポイント
先月5月と今月6月にわたり、ホモ・サピエンス全史【上巻】をご紹介しました。
本書では、人類の誕生から遺伝子における生存の流れが、
生物学的観点からも社会的観点からも詳細に書かれてあり、
医療に携わられる人にとっても、とても興味深い内容ではないかと思います。
人類の不思議は今もって解明されていません。
文明の構造と、人類について学び直すことは、
知識の上からも、人類の本質を見る上でも価値のあるものではないでしょうか?
地球温暖化や、人工知能、経済の持続的成長など、
直面する問題はグローバルです。
人類の歴史を知ることで、少しでも問題解決の糸口をつかみ、
日々の仕事に活かせていただければと思います。
著者について
著者:Yuval Noah Harari
(ユヴァル・ノア・ハラリ)
1976年生まれのイスラエル人歴史学者。
オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得。
現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。
軍事史や中世騎士文化についての3冊の著者がある。
訳者:柴田裕之
発売元:河出書房新社
以上、「サピエンス全史(上)」を2018年5~6月の2ヶ月にわたりお届けしました。
18.06.01(金)村田 小百合 カテゴリ: