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良書紹介(15)「言葉にできる」は武器になる

高校野球.png令和初の夏の高校野球、101回目の頂点を決める

履正社(大阪)と星稜(石川)との決勝戦が明日行われます。

勝ち残った2校だけでなく、各県の代表としてすべての球児達の

素晴らしいプレーに感動することも多々ありました。

最後の試合にはエールとともに、感謝の気持ちを送りたいと思います。

  

この本を推薦する理由

「世界は誰かの仕事でできている」このフレーズを③ジョージア缶コーヒー.pngのサムネイル画像のサムネイル画像

テレビのコマーシャルで聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

今月ご紹介する本は、この缶コーヒージ ョージアのコピーを手がけた

人が書いたものです。

私自身、コピーライターという職業には

"洗練された、特別な言葉の使い方を駆使できる人"というイメージを持っていました。

コミュニケーションの重要性が注目される昨今、

自分の考えや思いをどうやって「言葉」にして、

上手く人に「伝える」かというテーマはビジネスをはじめ、

プライベートでも悩む方がいらっしゃるでしょう...。

どのようにしたら、効果的に人に伝わる文章を生み出すことができるのかという、

ポイントを有名なコピーライターのノウハウから得たいな!というのが

正直な選択をした理由です。

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しかし、ノウハウだけでは2017年のベストセラーの

トップ10位以内に選ばれるわけもないことは、

読み進めると分かりました。

筆者は、言葉とはコミュニケーションの道具だけではなく、

もう一つの大切な役割があると捉えています。

それは、「伝わる言葉」を生み出すためには、

自分の意見を育てるプロセスこそが重要だと書いている点です。

「内なる言葉で思考を深め、外に向かう言葉に変換する」といった流れを体得することで、

一生モノの「言葉にできる力」を身に着けることができると断言しています。

皆様に自分の中にある「志」や「ビジョン」に向き合い、

言葉を通じて表現していけるスキルをビジネスの1つの武器として

習得していただきたいと思いご紹介していきます。

 

本の全体像(概略)

本書はとてもシンプルに3章構成です。

第1章「内なる言葉と向き合う」

第2章「正しく考えを深める思考サイクル」

第3章「プロが行う言葉にするプロセス」

コミュニケーションとは、さすがに相手あってこそのものなので

一方的ではなにも生まれません。

自分は、精一杯「伝えよう」と思って、色々な言葉を尽くしても、

実は相手には「伝わっていなかった」「伝わりきっていなかった」と

いうことがあります。

この「伝わっていない」から「伝わった」までにはレベルがあります。⑤-2コミュのレベル.pngのサムネイル画像

「伝わっていない」と言うことは「不理解・誤解」が

あるという状態であり、

その後、言葉による説明により「理解」のレベルと

なり、理解を経てこそ「納得」が得られ、

相手の「共感・共鳴」を獲得できる「伝わった」と

いう流れ(レベル)があります。

コミュニケーションの目標地点は相手に共感・共鳴

レベルまで伝えたいということは明白ですね。

しかしここに到達するには、実は上辺だけの小手先のスキル

では限界があります。

それは相手の胸に響く言葉が生み出せないからなのです。

④-3内なる言葉.png相手の共感、共鳴まで到達できる、その壁を乗り越えるため

には、あなた自身の「内なる言葉」の存在が欠かせません。

内なる言葉を磨く鍛錬(たんれん)をすることで、

あなたの口から湧いてくる言葉に重みや深み、

力強さが増していきます。

頭の中で内なる言葉を発し、熟考することで意見が育ち、

その言葉によって相手が深く納得し、その壁の向こうに共感が

呼び起こされ、あなたの志を共有するように共鳴が生まれてきます。

すなわち、本気度や使命感のある体温のある言葉をうみだすことで、

「人を動かす」のではなく「人が動く」動機付けを

生むことができると著者は述べています。

確かに本気で語られる言葉には、情熱、納得性や説得性を感じ、

その人の人間性まで垣間見ることができますよね。

現代は言葉で人間性まで評価される時代といわれる所以(ゆえん)ですね。

第1章では、「内なる言葉」を磨くことで「外に向かう言葉」が活かされることが

書かれてあります。

その「内なる言葉」を磨き上げるための鍛練の仕方が第2章で続いて語られます。

内なる言葉は、あなたの(こころざし)やビジョンを含んでいますので、

正しく深めていくことが重要です。

考えを深めていくことを「思考サイクル」といい、大きな3つのステップがあります。

第1ステップは、頭にあることを書き出すこと(アウトプット)から始まります。

そして、第2ステップでその書いたものを「拡張」させていきます。

最後の第3ステップで「化学反応」を起こさせるのです。

ここまで読んで、第1ステップの「書き出す」のは分かるけど、

第2と3の「拡張」と「化学反応」ってなに?と思われたでしょう。大丈夫です。

この3つのステップを実践的な7つの手順に沿って具体的に説明されていますので...。

では、この7つの手順を見ていきましょう。

第1手順:頭にある気になっていること、課題をすべて書き出す

「人は考えているようで、実は頭をいっぱいにしているだけで、⑦メモ.png

思考を進めているわけではない」と指摘されると、

耳が痛くなる人もいるかもしれません。

考えるべき課題が山積みになると、自分はよく考えていたと誤解し、

断片的で脈絡がなく考え散らかしていることに気づいていないことが多いのです。

そこで一旦、書き出すことで頭の中を(カラ)にでき、

考える余裕が生まれ課題俯瞰(ふかん)できるようになります。

 

第2手順:連想と深化で考えを進める

â'§-3Tå­--型思考法.png

本来の「内なる言葉」に近づくためのキモとなる

プロセスです。これを「T字型思考法」

というもので著者は表現しています。

「なぜ」「それで」「本当に」をキーワードに

繰り返すことによって「内なる言葉」の

解像度を上げていくことができます。

本来の「内なる言葉」に近づくためのキモとなるプロセスです。これを「T字型思考法」

と著者は表現しています。

「なぜ」「それで」「本当に」をキーワードを繰り返すことによって「内なる言葉」の

解像度を上げていくことができます。

 

第3手順:同じ仲間を分類する

よく似た課題や問題があれば、それをひとかたまりとして

⑨カラーメモ.png

グルーピングしていきます。

こうして分類することで、自分が抱えている課題の

大きな方向性や軸に気づくことができます。

その後、同じグループごとに名前をつけます。

たとえば「患者様不満足の原因(グループ)」「チームワークが悪くなる原因(グループ)」

などです。

そしてマトリックスを使って、縦を「深さの軸」、横を「方向性の軸」にして並べていくと、

さらに「内なる言葉」の解像度が高まっていきます。

第4手順:足りない箇所に気付き、埋める(視点の拡張)

可視化されて整理された課題を、今一度、眺め、冷静に「足りない視点はないか?」と

重複や漏れがないように、MECE(これはマーケティングに使われる手法)や

グルーピングを繰り返します。

第5手順:時間を置いて、きちんと寝かせる(客観性の確保)

ここでは何もせず、いつも業務に集中してください。

理由の1つは冷静に客観的になるためですが、

もう一つ理由があります。自分の考えている課題が可視化されたことによって、

⑩IDEA 電球ひらめき.png潜在的に情報感度が高くなり、日常生活で新たな考えや解決策が浮かぶなど、

ひらめきを得やすい状態を作っているのです。

「内なる言葉」の発酵を待つようなものです。

目安は2~3日。そしてその後、次の(6)に進みます。

第6手順:真逆を考える(逆転の発想)

時間をおいて寝かせた後に、さらに「内なる言葉」を磨き上げるためにする

作業です。「常識では考えないこと」や「考えられなかったこと」や「考えが

及ばないこと」という視点に強制的に思いを馳せ、別の世界へ考えを広げて

いきます。

第7手順:違う人の視点から考える(複眼思考)

⑪考える人 複眼思考.pngいよいよ最後の手順です。

あの人だったらどう考えるだろうか?とできるだけ具体的な人物を

思い浮かべながら、想像力を働かせ、頭の中に浮かんでくるであろう

内なる言葉を(つか)み取るようにしてみる。

上司や部下、同僚、患者様、取引先、家族、最愛の人、男女の違い

による物事の考え方や受け止め方は参考になることが多いものです。

この「思考のサイクル」と7つの手順によって、

頭の中が整理され、論理的に物事を考える力が付きそうです。

内なる言葉の解像度を上げることができ、

外に向かう言葉は自ずと力強いものになっていくでしょう。

第3章では、プロのコピーライターとして著者が行う

「言葉のプロセス」について語られます。

それは「思いをさらけ出す」ための2つの戦略です。

まず1つ目の戦略は「日本語の型」を知ることです。

ベースになっているのは、中学までに習った国語の教科書です。

相手にわかりやすく伝えるためには

①たとえる(比喩。擬人)

②繰り返す(反復)

③ギャップをつくる(対句)

④言いきる(断定)

⑤感じる言葉を使う(呼びかけ)(誇張・擬態)

2つ目の戦略は、言葉を生み出す「心構え」を持つことです。

①たった1人に伝わればいい(ターゲッティング)

②常套句を排除する(自分の言葉を豊かにする)

③一文字でも減らす(先鋭化)

④きちんと書いて口にする(リズムの重要性)

⑤動詞にこだわる(文章に躍動感を持たせる)

⑥新しい文脈をつくる(意味の発明)

⑦似て非なる言葉を区別する(意味の解像度を上げる)という

7つの心構えの重要性が理解できます。

医療プロフェッショナルとして役立ててもらいたいポイント

本書の中では、言葉の「解像度」を上げるというフレーズが何度か出てきました。

医療現場に働く私たちが「解像度」と聞くと、⑬座禅 ハート真ん中.png

レントゲン撮影の時に使う言葉みたい...と感じられるかもしれません。

レントゲンだけでなく、CT、MRIなどによって精度と解像度が高ければ、

先生方が患者様の治療方針を立てられるときに役に立つことでしょう。

治療に大切な説明を患者様にすることがあると思います。

その説明も「患者様が理解する」レベルに留まるのではなく、

⑭2つのハート.png「患者様が自ら治療方針に納得し、共感し、共鳴する」レベルにまで

引き上げれれば、治療効果も高まることが期待できます。

あなた自身の「内なる言葉」の解像度を上げるために、

本書の思考サイクルと7つの手順は参考になるのではないかと思います。

著者について

梅田悟司

株式会社電通 コピーライター。コンセプター

直近のコピーライテイングに、ジョージア「この国を、支えるひとを支えたい」

「バイトするならタウンワーク」ミニストップ「自分にMINIごほうびだっ!」など多数。

TBS日曜劇場では{99.9刑事専門弁護士}ではコミュニケーション・ディレクターとして

番組宣伝を担当したほか、東北六魂祭の立ち上げなども行っている。カンヌ広告賞、

レッドドット賞、グッドデザイン賞、観光庁長官表彰など国内外30以上の賞を受ける。

画像引用

ジョージア・エメラルド・マウンテン缶コーヒー

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19.08.21(水)村田 小百合 カテゴリ:

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