12月はその年をしめくくる「納めの月」。
今年の歩みに感謝し、あけてからの年を恭しくお迎えするために
煤払い(いわゆる大掃除)で思い切った「断捨離」を
決行される方もいるかも知れません。(私もその一人です...笑)
新しき年、令和2年(2020年)には色々な変化や節目があることでしょう。
ともに素晴らしい時代を過ごしていけることに改めて感謝しながら
今年最後の書籍をお送り致します。
この本を推薦する理由
前回、カーネギーの「人を動かす」をお送りしました。
ご紹介する理由はそれだけではありません。
私がアメリカで心理学のセミナーを受講した時に、
トレーナーが「良い質問とは、相手にとっても、
さらに自分自身に対しても豊かな上質な人生へと導く」と
言われたことが印象に残っています。
これまでこのサイトをご覧頂いてお気づきになられた方は多いと思いますが、
わたくしは文章の頭出しに『あなたは今、幸せですか?』
などと質問から始めることが多いのもその影響を受けたものです。
人は質問されると、自然とその質問に対して意識を向けてくれます。
そして、あまりにも当たり前に「答えないと悪いかな?」、
「どのように答えようかな?」と善意をもって回答に思考を向けます。
この習性を最大限利用しながら、
相手に気づく機会を与えられ、
結果的には自分の意図する方向に動かしていけるとしたら、
とても有効なコミュニケーションテクニックだと思います。
著者の職業が弁護士ということもあって、
法廷でのやり取りの実話をはじめ、
様々な自己啓発本からの引用も多く、
明日には〇〇さんには試してみよう、
自分なら「これはどう答えるかな」と楽しみながら
『質問のテクニックとコツ』が体得出来るゆえにこの本をご紹介します。
本の全体像(概略)
質問力を磨き上げることによって、6つの効果(成果)を得ることができるといいます。
そして、この6つの効果を実現するために1つ1つを6章に分けて解説しています。
【第1章】知りたい情報を楽々獲得する6つのテクニック
⇒ 自分が知りたい情報を楽々と手に入れるためには、
よい質問とダメな質問があります。
ダメな質問の事例を読むと、
無意識に「それ!やってしまってる」というものに気づくかもしれません。
【第2章】聞くだけで人に好かれる質問力
⇒ 欲しい情報を得るためには、
コミュニケーションをとる以前に、
相手から「この人なら話してもいいな~」と好感を得た上で、
会話を続け、盛り上がらせるコツがあることがわかります。
【第3章】その気にさせる質問力
⇒ 人をその気にさせる2大原則。
それは感情を動かし、そのあとに理性に訴えかける方法。
これを知っておけば、セールスマンや自分の意図する方向へ
相手を動かしたい人には強力な武器となります。
【第4章】人を育てる質問力
⇒ 自立した人を育てるには情報を与えすぎないこと。
自分で考え、自発的な行動を促すような質問を投げかけます。
部下だけでなく、子供が急に勉強を始めるようになる質問力の実例は必見です。
【第5章】議論を制する質問力
⇒ ソクラテスも使った、質問により議論に負けないカラクリが
よくわかります。
【第6章】自分を変える質問力
⇒人を変えたいと思っているなら、まず自分が変わる必要があります。
自分への10個の質問ワークにトライしてみましょう。
医療プロフェッショナルとして役立ててもらいたいポイント
現在ここまで読み進めてくださっているスタッフの方々に、
ぜひ質問力を実践してもらいたいものは、
第4章:人を育てる質問力にあります。
後輩がクリニックに入職してきたならば、
先輩は任せたい業務を教えるでしょう。
そして、その仕事を正確に理解したかどうかを、
どうやって判断すれば良いでしょうか?
そこで質問力の登場です。
「〇〇の業務の基本を教えたけど、
ときどき変則的な状況もあると思うけど、
その場合はどうしたらいいと思う?」
(⇒ありうる変則的な状況を質問して考えさせる。)
質問体験②:「△△と□□だったら、どちらのほうが適切だと思う?
なぜそのほうが良いと考えたの?」
(⇒業務の根底にある考え方やクリニックの理念さえも
理解しているのかを確認できます。)
後輩が自分で答えを見つけ出させるプロセスこそが、人の成長につながります。
また、先輩としてはちゃんと教えたのに失敗やミスを繰り返す場合があります。
そんなとき「何回言えばちゃんとできるようになるの?」と質問したくなります。
しかし、この質問をしたことによって、
後輩から「はい、あと3回ですね!」と
いう答えを期待して質問している人はいません。
「なんでちゃんとできないの?」という質問の裏には、
「あなたならちゃんとできる能力を持っているはず」
という相手への期待が隠されています。
その期待をもって、
後輩がどうすれば良いかを一緒に考える姿勢で尋ねる質問を
後輩自らが、できるようになるための方法やポジティブな
思考へと導く質問方法です。
では、せっかくの機会ですから
このポジティブクエスチョンを練習してみましょう。
ポジティブ・クエスチョン体験①:
「〇〇を今後上手くするために、どうしたらできると思う?」
ポジティブ・クエスチョン体験②:
「前回注意したあと、できるようになるために何かを変えた?」
ポジティブ・クエスチョン体験③:
「どうすれば今後ミスを防ぐことができるかな?」
ポジティブ・クエスチョン体験④:
「うまくできる人のポイントはなんだと思う?」
ポジティブ・クエスチョン体験⑤:
「できるようになるために、なにか手伝えることはある?」
全ての質問に「できる」という言葉が入っていることが一つのポイントです。
これらの質問によって
後輩の考え出すアイディアが「できる」方向へと
思考が動き出します。
将来、職場でなにか問題や起きた時に、
「できない理由を」探り出す質問よりも
「できるようになるための」ポジティブ質問を
スタッフ同士でしてみてくださいね。
著者について
谷原 誠
1968年愛知県出身。明治大学法学部卒業。
91年司法試験に合格し、企業法務、事業再生、交通事故、不動産問題などの案件・事件を、
鍛え上げた質問力・交渉力・議論力などを武器に解決に導いている。
現在、みらい総合法律事務所を共同で経営。「報道ステーション」
「スーパーJチャンネル」などの解説でも活躍する。
本年も このサイトにお越しいただいたことに御礼申し上げます。
皆様のご多幸とご健康を祈りつつ、
どうぞ新しき年もよろしくお願いいたします。
19.12.04(水)村田 小百合 カテゴリ:スタッフブログ