今夏は梅雨も長引き、
大雨や河川の氾濫等により被災された
皆様へ謹んでお見舞い申し上
祖母がひょたんの話をよくしていました。
瓢箪を6つ集めると「六瓢箪(むびょうたん)」といって
「六瓢(むびょう)=無病(むびょう)」という語呂合わせ
となって「無病息災」の縁起物になるそうですよ。
この本を推薦する理由
著者である安田正さんのご本は、
一昨年(2018年3月:良書紹介【2】)のブログでもご紹介しました。
そのときの本のタイトルは「超一流の雑談力」です。
今月の本と共通しているのは、
どちらの本にも「一流」と付いているところでしょうか。
誰しも持っている「やさしい気持ち」「他人への思いやり」ですが、
それは"もったいない"ことでしょう。
しかしながら、心の中にある「気持ち」とは、
切り開いて見せることができないものであり、
相手にも分かるように行動、
表現しなくては伝わらないのも事実です。
つまり、周囲の人に自分の気持ちを行動にのせて、
配るスキルこそ、気くばり力と呼べると思います。
二流、三流とどう違うのかな?と考えてみました。
★三流の気くばりとは、
よかれと思ってしたことが、自分本位の行動だと悪印象を与える
★二流の気くばりとは、
相手の印象・記憶に残らない
★一流の気くばりは、
「信頼され、忘れられない人」になる
という感じでしょうか...。
例えば、なにかお世話になった後には、
タイミングを逃さず
「先日はありがとうございました」という
ご挨拶を電話やメールで伝えるなど、
ほんのちょっとした気くばりをすることが、
仕事の枠を広げ、成果と評価を高めることになり、
結果、お金も幸せも運んできてくれるキッカケになります。
気くばりとは、人と人との間の見えない空気を
より良いものにすることと言えます。
このように、気くばりによって人生の成功と幸運の
そのような人達は必ず「一流の気くばり力」を
発揮している訳です。
「でも、見えない心、想いなどを
表現するなんて難しそう・・・」と
感じられた方...、安心してください。
本書では、ひとりひとりの性格や経験値によって
「得意な気くばり」と「苦手な気くばり」があることを理解した上で、
伸ばしたい気くばり力のために
どうすればよいのかを示唆してくれます。
さあ、ご一緒に読み解いていきましょう。
本の全体像(概略)
仕事をする上での土台になる
『一流の気くばり力』は
「俯瞰する」
「共感する」
「論理をとおす」
「サービス精神を持つ」
「尊重する」です。
これら5つのアンテナを体系的に学ぶために、
1章ごとにそれぞれの力の高感度を
上げていく、具体的なシチュエーションや方法が解説されていきます。
では、現在、あなたの気くばり力はどれくらいでしょうか?
ということも気になる部分ですね。
さて、あなたがこの5つのアンテナを
自己評価するとどのような感じになるでしょうか?
巻末には、簡単な質問に答えることにより、
右図のグラフに伸ばすべき気くばり力の状態がわかる
セルフチェックが用意されていますので、
まず最初に試されるのもおもしろいと思います。
(←気くばり力のグラフ:巻末から引用)
6点満点で、黄色い部分が大きくなればなるほど、
気くばり力は高いと言えますが、
例えば、
左のAさんのグラフのように少し強い、
弱いが出ていた場合の
解釈の仕方をご説明します。
グラフからAさんは、「サービス精神」は人一倍旺盛で、
周囲のそんなAさんに好意を持っています。ですが、
どうも仕事や、スケジュールを一段高い視点から
「俯瞰する」ことができない。
そのためか段取りが、いまいちだったり、
お客様のニーズと若干のずれが生じたりすることが多いので、
「いい人なんだけど...」と重きを置いてもらえないことが読み取れます。
似たような人がいたならば、
第1章の「俯瞰力の気くばり」がお役に立つと思います。
俯瞰力とは、高い視点から全体を見下ろしたり、
患者様視点、
ドクター・上司の視点、
他部署メンバー・後輩スタッフの視点からも、
自分や職場を広く、深く見つめ直すことにより、
自分に今、何が求められ、期待されているかということを
見つけることができる力といえます。
たとえば、病医院内でドクターへ報告をする際には
(1) 現状を簡潔に述べる
→ 他院に通院中の患者様から、
セカンドオピニオンのご希望の問い合わせ
がありました。
(2) 見通しを述べる
→ お電話での感触は、
現在通院している医院の診療内容と説明不足によって
ご不安を感じていらっしゃるようでした。
できるだけ早く来院したいご様子です。
(3) 対処を伝える
→ 通院中の診療情報提供書(所見・検査結果)を
お持ちいただくよいうにお願いしましたが、
お持ちでない場合でも、
私どもの診察を受けていただけるので
安心くださいとお伝えしました。
(3)の対処については、具体的、多面的に
できればさらによいでしょう。
この場合、他院に通院されている患者様が不安がっていると
いうことを俯瞰できたからこそ、
安心を与える返答ができると言えます。
さらに、先生方が最善の治療が提供できるように
準備資料などを先読みしてお伝えすることにより
病医院のブランドアップに貢献できる気くばりが発揮できていますね。
医療プロフェッショナルとして役立ててもらいたいポイント
この本の中には参考にしていただきたい箇所がたくさんありました。
まずは、第2章、
『共感力の気くばり』については
是非とも医療スタッフに活用していただきたいことがありました。
患者様だけでなく、 人は誰しも自分の立場や感情を理解し、
共感してもらいたいと思っています。
共感することで、『自分を受け入れてもらえた』と
初診票・問診票へのお願いをする前に
★「お手数をお掛けしますが...」「ご面倒ですが...」と
いう言葉をかけます。
これは、相手が心の中で「また、面倒だな~」と思う気持ちに
共感を込めた言葉がけです。
「ほんと、手数がかかること、面倒だと思われていることを、
私は知っている(=共感している)のですが...」と前置きして、
「安全・安心な診療のためにご協力をお願いします」と
依頼を続けると、
「ていねいな人だ」「言葉遣いに思いやりのある人だ」という印象を
与えることができます。
つねに感情に流されずに物事を判断でき、
他人の感情を受け止める前に
理性で考える気くばりのすすめです。
この論理力とは一見すると、
気くばりと相反しているように感じるかもしれませんが、
チーム医療を推進していくには有効に使えるものです。
たとえば、後輩スタッフ同士から、
「○○さんとは考え方もやり方も違うから、
一緒に仕事をしてもうまくいきません」と訴えられた際、
この気くばりが高い人は、
「○○さんとは、相違点があるけれど、
こういう共通点もあるでしょう。
まず、□□から始めて、次にこれ、そしてその次はこれと、
順番にやっていけばうまくいくんじゃないかな」など。
「ムカッ、イラッ、カチーン」という感情に流され、
突き放すのではなく、人の意見は意見として受け止める。
そのうえで、自分の意見も押し付けないフェアな姿勢を示すことです。
すべてのビジネスパーソンが身につけたい気くばりですね。
尊重のアンテナの高い人は、
とてもお付き合いしやすい印象を与えることができます。
医療スタッフの皆様には、特に重要なアンテナに感じます。
たとえば、相手(患者)の名前を意識して呼ぶことで、
患者様は「自分のことを認めてくれている」
「自分の考えや人格を尊重してくれている」と
感じてもらうことかできます。
また、相手との会話をメモにとるなどして、
覚えておくことで、患者様との距離か縮めることもできるでしょう。
また、患者様の言葉に心を傾けて、
その真意や感情までも受け止めるように話を遮らず、
アイコンタクトやうなずきで関心を示す傾聴は大切ですね。
今、あまり使っていないアンテナがあれば、
意識しながら少しずつ改善し、
5つのアンテナをバランスよく高めることで
なっていただければと思います。
著者について
安田 正
株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役・
対人対応トレーニング、交渉術、ロジカルコミュニケーション、
プレゼンテーションなどのビジネスコミュニケーションの領域で、
官公庁、上場企業を中心に1700の団体での講師、
コンサルタントとして指導実績を持つ。オスカープロモーション所属。
また、早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授の他、
東京大学、京都大学、一橋大学などでも教鞭をとる。
あらゆる仕事において「成果と評価を得るために、もっとも必要な能力」である
「気くばり」を、「使えるビジネススキル」として、
初めて体系的かつ実践的にまとめたのが本書である。
著書に、累計64万部を超える大ベストセラー「超一流に雑談力」シリーズの他、
『英語は「インド式」で学べ』『一流役員が実践している仕事の哲学』などがある。
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2020年の夏は毎年恒例の夏まつり、
花火大会を自粛されるところも多いようです。
(私が毎年楽しみにしている
"なにわ淀川花火大会"も見れませんでした(;。;))
20.08.01(土)村田 小百合 カテゴリ:スタッフブログ