こんにちは!引き続き3月分の良著紹介を
させていただく、笹谷政太朗です。
宜しくお願いします。
さて、厳しい寒さが長く続いた冬も
ようやく終わりに近づきつつあり、
春の始まりを感じています。
なのですが、僕は2年ほど前から、
年々量が増えつつある花粉に苦しまされており、
それ以前はとても春が大好きだったのですが、
花粉のせいで今では、
はやく楽しい夏が来て欲しいと願うようになっています(笑)。
また、ここ数週間は毎朝、ニュースで取り上げられている
ロシアがウクライナへ武力侵攻している件についてなのですが、
悲惨な画像を見ながら、
幼いときに見た、漫画ドラえもんの中の言葉、
「どっちも自分が正しいと思っているよ。
戦争なんてそんなもんだよ」というものを思い出してしまいます。
僕はこれにすごく考えさせられ、
実際その通りだなと思いました。
ですが、戦争を肯定していい理由などあるはずもなく、
一刻も早く戦争が終わり世界中に平和が訪れることを祈っています。
そして、令和4年3月分の良著紹介ですが
どうぞ宜しくお願いします!
この本を推薦する理由
正直に言いますと、僕はこの本を読み、
皆さまに推薦する気になれませんでした。
本音を言うと違和感さえ感じてしまっていました。
しかしながら、この書籍は、上司からの今月の指定図書とされていたので、
その上司の推薦しようとしている意図を探すつもりで
この原稿を書こうと決めました。
そして、この本を推薦する理由を1つ上げるとするならば、
この本には将来、誰であれ「人」を教育する側の人間になった時に、
役に立つ部分を実証実験し、科学的根拠(エビデンス)に
基づいた教育法が紹介されているということでしょうか。
教育する側の方々というのは、
学校の先生方や塾の先生方ばかりではなく、
含めて想定しています。
多分、僕の両親も一度は悩んだ事があるのではないか
という疑問に対する答えも教えてくれます。
例えば、子供をご褒美で釣ってもいいのか、
どんなご褒美がいいのか、褒めて育てるは本当か、
子どもを勉強させるには?などです。
なので、僕自身の幼少期や、学生時代に受けてきた教育法が、
「これは良かったな〜」とか、「あれは、あまり効果はなかったんだ、
むしろ逆効果だったんじゃない?笑」と思い出しながら、
それを裏付けるエピソード、そして、
「こういった教育はされたことがなくて、斬新だな!」と
思える節もあり、そこは面白かったので紹介しようと思いました。
そのなかで、最も共感出来たことは
エネルギーの無駄遣いであり、
なんなら逆効果である』ということについての
エビデンスです。
僕自身も、やはり、この言葉は言わないで欲しい言葉、
第1位でした。みなさんもそうじゃないでしょうか??
子供に「勉強をしなさい」と言うだけだと、
結局、勉強をするという選択の主導権を握っているのは
子供自身なわけであり、「勉強しよう!したい!」と
思わない限り、当然ですが勉強をする気は沸き起こりません。
逆に親が、勉強する時間を決めて守らせる。
一緒に勉強の計画を立てて見守るといった
このように対応されると自然と勉強をする気、
いやこの段階ではまだやる気にはなりませんが、
「勉強をやる環境が整っていく」ことになります。
このように、環境をととのえていく手助けや
言葉がけのいろいろは妙に納得しました。
そして、目に見える学力=認知能力だけでなく、
自制心ややり抜く力といった
非認知能力が学力に寄与するって話にはドキッとしました。
非認知能力には、体調管理や人間関係、
全てに通ずる能力なので、
そこを鍛えていくことは1番大切でもあり、
効率的なのではないか!と感じました。
本の全体像(概略)
教育については様々な評論家がいる「
1億総評論家」状態で、
いろいろな人が教育者としての
個人的な経験に基づいて、ああでもないこうでもないと、
教育について語っていることがほとんどです。
そのため、「本当にそのやり方に効果があるのか」、
「ほかの子供にも同じように効果があるのか」と
いったことが不明なものが多く、
巷で語られる教育論にはエビデンスが無く、
それゆえにこれまで、「なぜその主張が正しいのか」
という説明が十分になされていませんでした。
(データを用いて教育を経済学的に分析する)の
研究結果をもとに、科学的に裏付けのある教育や
子育てに関する発見について紹介し、
一般的な思い込みを一掃する、
教育政策や教育方法を決定する際
のエビデンスの重要性と、データを用いて教育を
経済学的に分析したことによって明らかになった、
「知っておかないともったいないこと」を
著者が考え記した本です。
教育する立場(親・教師)の皆さまに役立てて貰いたいポイント
ほんの少ししただけで、
人を教育する立場にあるわけでもないので、
この役立ててもらいたいポイントを書くのは
おこがましいと思うとともに、
非常に悩んだ部分でもあります。
そこで、将来、教育する側の立場になった時や
親になった時に、自分なら、これなら簡単で出来そうだ!と
思ったことをお伝えしたいと思います。
子供が勉強したことに対してご褒美を与えることは、
子供の「勉強する楽しさ」を失わせてしまうのか
という議論があります。
「ご褒美」のことを経済学では
「外的インセンティブ」といい、
親や教育者は、こうした外的なインセンティブを
教育の現場で用いると、短期的には子供を勉強に
向かわせることに成功したとしても、
「一生懸命勉強するのが楽しい」というような、
好奇心や関心によってもたらされる
「内的インセンティブ」を失わせてしまうのではないかと
これまで思われているのですが、実際そういう例は存在するとのことです。
しかし、子供を勉強させるということにおいては、
実験とその後のアンケート調査の中での、
心理学の手法を用いたインセンティブの計測によると、
統計的に、ご褒美が子供の「一生懸命勉強するのが楽しい」と
いう気持ちを失わせないということがわかったとのことです。
子供が勉強をしたという事実に
対してはしっかりとほめて、
正当なご褒美をあげることはできるなぁ思いました。
その研究方法やデータの集め方、
チャートの作り方、因果関係の見つけ方なども
お役に立つのではないかと思いました。
著者について
中室牧子
1998年慶應義塾大学卒業。
米ニューヨーク市のコロンビア大学で博士号を取得(Ph.D.)。
日本銀行や世界銀行での実務経験を経て2013年から
慶應義塾大学総合政策学部准教授に就任し現在に至る。
専門は教育を経済学的な手法で分析する「教育経済学」
22.03.30(水)笹谷 政太朗 カテゴリ:スタッフブログ