4月になり、入社(入職)式を迎えられた新社会人の皆さま、
おめでとうございます。
新たなスタートを切られて1ヵ月近くが過ぎ、
すでに新生活に慣れたという人もいれば、
なかなか新しい環境になじめなくて...という人もいるのではないかと思います。
ちなみに僕は後者で、とても苦労しています...。
昨年はコロナ禍によって大学の授業がほとんどオンラインで行われ、
週に一回しか学校に行けなかったのですが、
新学期からはほとんどの授業が対面で行われることが決定し、
週5で学校に通うことになったため特に、
朝起きることに大変な思いをしています。
毎日学校に通うことは当たり前のはずですが、
1年間、週に1回学校に通うという生活パターンに
慣れきった僕の脳と身体は、毎日、朝早くに起きるということが
こんなにも難しいものなのか?...と自分ながら、情けなくなってしまいます。
なので、この新学期からは早寝早起きの習慣を再び取り戻したいと
思うとともに、2021年にもっとも売れた本を読んでもう一つ、
思ったことがあります。
それは「スマホ生活」です。
前置きが長くなってしまいましたが、
令和4年4月分の良著紹介としては、
著者、ハンセン氏の母国スウェーデンでは
社会現象にまでなったと言われる
『スマホ脳』をお送りしたいと思います。
どうぞ宜しくお願いします!
この本を推薦する理由
僕は、小学校5年生(11歳)になった頃からスマートフォンを使用し始め、
現在(19歳)に至るまで、ずっと使い続けています。
中学生時代にはSNSの面白さを知り、
高校生にもなるとスマホでゲーム、友達とのメールのやりとりが楽しくて、
夜更かしするといったこともありました。まさにこの頃から、
「スマホ漬け」になってしまっていたのです。
そして、なぜ僕はスマートフォンの魅力にはまり、
使用時間が莫大に増えてしまったのかというその理由や、
合わせてスマホが僕の生活に与えた影響をこの本を通じて知り、
フェイスブックの「いいね! 」の開発者は、
「SNSの依存性の高さはヘロインに匹敵する」との発言を聞いて、
「おおっ~(;゚ロ゚)、僕の脳は完全にスマホに洗脳され、
スマホなしでは生きていくことすらできないと!
間違いなく思っていたな!」と納得してしまいました。
本著では、どうしてスマホが人を依存させるのか、
その理由は脳内のドーパミンが鍵を握っていることを解明しています。
分泌される報酬物質と言われていますが、
実はそれだけではありません。
ドーパミンの最も重要な役目は私たちを元気にすることではなく、
人間に行動する"動機"を与えることです。
つまり、ドーパミンは『人間の原動力』とも言えるのです。
しかも、研究結果からは、
僕たちの脳は「何かが起こるかもしれない」という不確かな期待が大好きで、
ギャンブルのように報酬がもらえるかどうか分からないものの方が
ドーパミンを大量に発生させているとのことです。
何かが起こるかもという期待以上に、
報酬中枢を駆り立てるものはないというのです。
これには僕も心当たりがありました。
スマホゲームで強い敵と戦っているとき、
勝てるかわからないが「次こそは勝てるはず...」と思い、
何度も何度も勝負をしたい衝動に駆られ、
止められないゾーンに入り込んでしまったことがありました。
ドーパミンの洪水にどっぷり浸かっていた感じです。
脳の仕組みとは、人類が誕生し、
ほとんど変わっていないそうです。
なので、ここ数十年で急速に発展してきた情報テクノロジーに
対応できていないのは当然だといえば当然です。
現代の人のほとんどが利用しているSNSは、
この本能というのか、脳の原理を巧みに利用しているため、
知らず知らずのうちにはまってしまい、
今や、人間の脳を支配するものとして君臨してしまったのです。
世界的有名なIT、テクノロジー業界を牽引してきた
自分の子供達にはスマホの使用を
厳しく制限しているという理由なども、
この脳の原理を知っていたからこそだといえます。
スマホがいかに戦略的に人を魅了するように作られているのか
興味深い事例の一つです。
昨今のコロナ危機で、スマホが外界とのライフラインに
なった今だからこそ、スマホとの付き合い方を見直す機会としても
この本を推薦させていただきます。
本の全体像(概略)
調べたいことがあれば即座に検索、
銀行の振り込みも家にいてすぐ出来るじゃないか!なんて快適なんだろう!
こんな便利なポケットに入る小さなPCを開発してくれて"ありがとう"と
スマホの存在に感謝したい気持ちは僕にもあります。
しかし、それを使いすぎることによって伴う影響を知らずに使うのと、
使い方を自制していくこと大切さをこの本は解説していきます。
「あなたは1日に何時間スマホを見ていますか?」と質問されたら、
皆さんはどれくらいの時間だと答えられるでしょうか?
大人で1日に4時間、10代の若者であれば、
4~5時間はスマホを使っているようです。
デジタル・ライフの変化はスマホの使用時間を劇的に増加させていきます。
にもかかわらず、僕たち人間の脳はこのデジタル社会に
いまだ適応できておらず、スマホはとても便利だが、
現実への警告と言えます。
人間には睡眠や運動が必要であり、
お互いへの強い欲求が備わっており、
こうした欲求を、スマホを使い続け、依存し続ける弊害を
統計調査によって指摘しています。
とてもシンプルで、少しずつ取り入れてみようか?と
納得性を感じます。
しっかりと睡眠をとり、運動をし、
適度なストレスにさらされるなどは
明日からでも出来そうです。
また、スマホの使用の制限が、集中力の上昇や、睡眠不足、
さらに睡眠不足から起こされるうつなどを防ぐことができます。
役立てて貰いたいポイント
すぐにスマホのメールチェックをしてしまうなど、
スマホ依存の兆候を感じている人にはお役に立つと思います。
そして、この本には章が変わるごとに、著名な人や、
大学の教授などの名言のようなものが書かれているのですが、
その中でとても納得したものがあったので紹介させていただきます。
マイケル・ガザニカ(カリフォルニア大学神経科学教授)の
「脳は体を動かすためにできている。そこを理解しなければ、
多くの失敗を重ねることになるだろう。」という言葉です。
この一節には、ハッと思い当たるエピソードが僕にはありました。
受験勉強をしている時、何時間か勉強をしてとても疲れたなと感じた時に、
ベットでゴロゴロしてスマホをいじるのではなく、
そうして戻ってくると、とても気分が晴れて
また勉強に集中できていました。
この適度な運動が脳をリフレッシュさせていたのだなと思います。
なので、皆さんも作業に疲れたなと感じたときは、
少し外を散歩したり、ベランダにでて外気に触れることも
良いのだと思います。
疲れがとれるとともに、作業を再開したときに集中力が高まってるようです!
もう1つ参考にしていただきたいポイントが、
集中力が必要な作業をする時はスマホを手元に置かず、
隣の部屋などに置いたほうがいいということです。
これも受験勉強の時の話になるのですが、家で勉強する時は、
必ずスマホをリビングに置いて自分の部屋で勉強をしていました。
やはり、自分の手の届くところにスマホがあると、
メールの通知などが気になり勉強に集中することができませんでした。
ボックスなども販売されているようです。
懲りない僕は、この原稿を書いているときも、
スマホを近くに置いていたためにたびたびスマホを触ってしまい、
いよいよ締め切りに追われそうになり、
浴室やトイレにスマホを置いて原稿を書き上げました(汗)
このように、スマホは人間の集中力を著しく妨げることが分っているのに、
僕にとっては、スマホ・デトックスは簡単には出来ないことも分りました(泣)
今月は、スマホの便利さと、健康な心と身体との適度な関係、
付き合い方を学ぶ1冊をご紹介しました。
今年のゴールデンウィークはコロナから少し解放されるようです。
皆さま楽しくお過ごしください。
著者について
アンデシュ・ハンセン(Anders Hansen)
1974年スウェーデン生まれ。精神科医経営学修士。
ノーベル賞選定で知られる名門カロリンスカ医科大学を
卒業後、ストックホルム商科大学にて経営学修士(MBA)を
取得。
現在は王家が名誉院長を務めるストックホルムの
ソフィアヘメット病院に勤務しながら執筆活動を行う傍ら、
前作『一流の頭脳』は人口1000万人のスウェーデンで60万部が売れ、
その後世界的ベストセラーに。
有名テレビ番組でナビゲーターを務めるなど精力的にメディア活動を続ける。
翻訳者
久山葉子(くやま・ようこ )1975年兵庫県生まれ。
翻訳家。エッセイスト。神戸女学院大学文学部英文学科卒。
スウェーデン大使館商務部勤務を経て、現在はスウェーデン在住。
22.04.30(土)笹谷 政太朗 カテゴリ:スタッフブログ